・手指・衣類などにスプレーで軽く吹きかけるだけ。
・次亜塩素酸水を使う前に汚れを除去していない。
・有効塩素濃度が書いていないものを使っている。
・開封して/生成して時間が経ったものを使っている。

こんな使い方をしていないでしょうか。それは除菌している「つもり」で、実際には全く除菌にはなっていません。

新型コロナウイルス感染症の感染者数が激増していますが、その原因の一つとして正しい消毒・除菌をしていないこともあるかもしれません。

次亜塩素酸水の新型コロナウイルスに対する有効性については、厚生労働省や経済産業省から発表がありましたが、最新情報では(2020年6月26日)条件付きとなっており、使い方やそのもの(製法や濃度)については注意が必要である、ということになっております。

使い方における注意

流水でかけ流す。この場合有効塩素濃度は35ppmのもので。
拭き掃除。この場合80ppmのもので。

とありますが、いずれも20秒以上でという条件が書いてあります。例えばテーブルだと表面をすっかり覆うほどの量(ヒタヒタになる程度)で20秒、水滴が付着している程度では足りないとされています。

次亜塩素酸は有機物=汚れなどに触れるとすぐ水に変化してしまうので、少し噴霧しただけでは有機物を処理するだけで、ウイルスを不活性化するに至りません。

このように考えると、まず、ヒタヒタにすることができないモノには不向きで、適応できるものがかなり限られます。

適応できるモノでも、正しく使用するための手順は、有機物を除去してから、次亜塩素酸水を塗布する。さらにヒタヒタにしたものは拭き取る。と書かれています。効果が発揮されるよう次亜塩素酸水を使用するには、実際にはかなり面倒になります。

また空間に噴霧すること(加湿器)は推奨されていません。

他、次亜塩素酸水は塩素濃度にも注意する必要があります。生成器などで濃度を確認し、作りたてを使用する分には問題ないが、ボトリングしたものを購入する場合は、その製品の濃度が明示されているものを選び、使用期限内に、また開封したら早く使い切る必要があります。厳密には、使用前毎に塩素濃度を濃度チェッカーなどで確認すべきです。

(参考および引用)

経済産業省「新型コロナウイルス対策」

https://www.meti.go.jp/press/2020/06/20200626013/20200626013-4.pdf

厚生労働省「新型コロナウイルスの消毒・除菌の方法について」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/syoudoku_00001.html

【補足】「次亜塩素酸水」にはいくつかの製法がありますが、このうち、食塩水や塩酸を電気分解して生成した「次亜塩素酸水」には、食品添加物(殺菌料)に指定され、規格が定められたものもあり、食品加工工場における野菜の洗浄などに使われます。
また、次亜塩素酸ナトリウムを原料に、酸を加えたり、イオン交換等をすることで酸性に調整したものも「次亜塩素酸水」として販売されています。これには規格や基準が無く、成分がはっきりしないものもあります。また、「pHを調整した次亜塩素酸ナトリウム」と称して販売する例があり、アルカリ性の「次亜塩素酸ナトリウム」と酸性の「次亜塩素酸水」の混同の一因になっています。